中国人民元、実勢レートと公式レートとの乖離ひろがる 闇ドル相場がうなりを上げ始めた(宮崎正弘国際情勢)
半世紀ほど前、台湾でも闇ドルが取引されていた。人びとは自国通貨を信用せず、日本円やドルと交換するか、あるいは換物投機。この時代に普遍的な手口は日本の銀行が発行する支店長小切手だった。たとえば100万円の小切手は、現金を持参すると支店長小切手を出して呉れる。紙切れ一枚、台湾へ持ち込むと103万円くらいで台湾ドルと交換された。当局が規制に乗りだし、預金口座があり身元の明確な人にしか発行しなくなり、やがて手形小切手も廃止され、この手口は時代遅れとなった。
地下銀行はヤクザが絡むが、日本で、『彼ら』に預けると、銀行の送金手数料より安く、相手国に通信され、相手国通貨で振り込みというシステム。
これは依然として日本と中国ばかりか出稼ぎの多い東南亜細亜の国々で普遍的である。
しかしデジタル時代となって、暗合通貨での送金は手数料も殆ど不要で、匿名性があり、ビットコインの80%が中国で買われた。
これもビットコイン規制と相場の暴落によって最近はステーブルコインに早変わりした。
というわけで、個人が年間に持ち出す上限が5万ドルという中国の外貨規制も、多彩な手口で、中国からカネが海外へ流れ出ている。それも猛烈な勢いをつけて巨額が逃避しているが、不思議や不思議、人民元の為替レオートは高止まりして居る。経済理論的に言えば、人民元は勢いをつけて下落する筈だが、中央銀行が厳重な為替相場管理をしているため、“人工的”に人民元が高い状態なのだ。
人民元とドルの交換の仕組みは外貨準備の範囲内で、人民元が発行される。ドルの裏打ちがない金額が、近年市中にばらまかれているため、中国国内の人民元レートと海外で交換される「オフショア人民元」とのあいだに乖離が明瞭になった。
人民元は暴落気配なのである。
貿易収支は黒字と発表されるが、その黒字分が外貨準備に繁栄されず、海外に置かれたままになっている。
中国から夥しい数の外国企業が撤退している現実とは、すなわちドル資産が激減しているのである。
そのうえ不動産バブル破綻から生じた債務危機のため、ローン金利を中国は上げられない。米中の金利差が拡大しているから、投資家は米国へ振り向ける。
人民元安は理論的には中国の輸出競争力を高める筈だが、実際には原料、部品、材料などが輸入に頼っているため(たとえば鉄鉱石は豪に銅はチリやブラジルに)、競争力を失うという逆転が起きている。
当局が介入するにも外貨を切り崩すことであり、中国人民銀行は避けたがる。したがってオフショア人民元は中国国内の為替レートを大きく逸脱し、暴落気配なのである。
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