江口克彦『松下政経塾の真実』(リベラル社) 松下政経塾はなぜ五年間もの時間を人材育成に必要とするのだろう? 道義国家、法律は簡素に、政府は小さく、志を高く
「日本初の女性首相」は、松下幸之助が設立した松下政経塾の第五期生だった。彼女が政治家になろうと決心したのは、松下幸之助が発した「日本の政治がしっかりしてなかったら、日本の繁栄は終わる」という憂国のひと言だったという。
政経塾出身で政治家になった塾生は数知れず、野田佳彦が最初の首相経験者となった。在野でも台湾で大活躍の矢板明夫氏(前産経新聞台北支局長)も、『諸君!』の編集長だった仙頭寿顕氏も松下政経塾OBである。
五期生の高市早苗が日本のリーダーとしてまつりごとの舵取りをすることとなり選挙で大勝を実現した。ロマーニやルペンを越える支持率を獲得したのだ。
未曾有の危機に直面する状況の中、「日本列島を、強く豊かに」というスローガンを掲げ、日本の繁栄をもたらす政策実現に向けて邁進している。その「原点」は「松下政経塾」にある。
しかしいったい、この塾は何を教え、何をしているのか。まず松下政経塾はなぜ五年間もの長い時間が人材育成に必要だとするだろう?
著者の江口氏は松下幸之助の側近として仕え、PHP社長を歴任した。そして参議院議員となって政界でも活躍された人物である。松下思想を語るに最適の語り部である。
幸之助、かく語りき。
「政経塾を五年制にしたのはな、塾生たちに、わしの考えた人間観を彼らの体に沁みこませようと思ったからや。そのためには五年かかる。人間をどう捉えるか。これが、とくに政治の出発点や。塾生の最大の目的は、この人間観を習得することや。政経塾をつくったのは、ただその一点にあるということやな。この人間観から『人間大事』の理念を身につけ、塾生たちがその『人間大事』の原点から、政治を考えられるようにせんと。政治は国家国民、世界人類の幸せを実現せんといかん。そういう尊い使命があるんや。(中略) 二十一世紀、日本と世界の平和と幸福と繁栄に貢献する、本物の政治家が続々とこの政経塾から出てきて欲しい。これがわしの夢や」。
また国家というあり方は『法治国家』で事足りるわけではない、と松下幸之助は言い残している。
「法治国家が人間社会の窮極的な理想の姿かと言えば、かならずしもそうとは言えない。現に法治国家の典型ともいうべきアメリカが、法律でがんじがらめになり、すべてが煩雑になって、そのことの弊害のほうが目立ってきている」
なるほど、アメリカ政治の本質的欠陥をひとことで衝いている。
そして国家とは道議道徳を重んじ、志が高いものでなければならない、と言う。だから幸之助は大久保利通より阪本龍馬を評価した。
高市さん、これらの言葉をわすれてはいませんよね?
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