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【断末魔の中韓経済】①中国指標「大ウソ」実態 GDP「7%」達成しないと習氏の公約違反に(三橋貴明)

東アジア歴史文化研究会

2015.10.27

世界市場における鉄鉱石・石油(WTI指数)価格の推移
★(1)

中国の習近平国家主席は、先週19日から23日まで英国を訪問した。総額400億ポンド(約7兆4000億円)もの契約を締結し、「(英中両国は)黄金時代を開く」と宣言したが、その足元は大きく揺らいでいる。世界のメディアやエコノミストが、中国の経済指標に一斉に疑いの目を向けているのだ。嘘で塗り固められた中国経済の実態に、経済評論家の三橋貴明氏が迫った。

中国共産党は19日、2015年7-9月期のGDP(国内総生産)成長率を発表した。筆者の予想通り、対前年比で6・9%という数字だったため、思わず失笑してしまった。現実には、直近の中国経済が、プラス成長などということはあり得ない。

15年9月の中国の「輸入」は、前年同月比で20・4%減と、2割を超える落ち込みとなった。輸入が1年前と比べて2割も減っていながら、経済成長率は6・9%の成長。しかも、4-6月期と比較し、対前年比の成長率がわずか0・1%しか動いていない。中国共産党自身ですら、もはや世界に信じてもらえるとは思っていないだろう。

実は、中国の経済成長率は対前年比7%前後で「維持されなければならない」のだ。習氏が国家主席に選出された、12年秋の第18回党大会において、「20年のGDPを10年の2倍にする」という公約が決定されたのである。

10年間でGDPを2倍にするためには、毎年「7%」の成長率を維持しなければならない。実態がどうであろうとも、1年間で7%のGDP成長を達成しなければ、習氏は公約違反という話になってしまうのだ。

初めから、「対前年比7%前後」という経済成長率が決定されており、実際の経済状況に合わせて誤差レベルの「調整」がなされるというのが、中国の経済成長率の正体だ。今後、中国の経済失速は継続していくことになるが、共産党は「最低6・5%」で成長率を「発表」し続けることになるだろう。

中国経済の失速、特に「輸入の落ち込み」は、世界経済に大きな影響を与えつつある。

14年4月に不動産バブルが崩壊を始めるまで、中国は鉄鉱石などの資源の「買い手」として、世界経済に大きな影響力をふるっていた。鉄鉱石の輸入市場において、何と中国一国が占めるシェアは64%に達していたのだ。

ところが、中国の不動産バブル崩壊で、鉄鉱石価格が暴落。11年にはトン当たり170ドル(約2万500円)を上回っていた鉄鉱石の価格が、今や56ドル(約6760円、15年9月)なのである。トン単価が3分の1未満に落ち込んだわけで、当然ながら鉄鉱石を輸出している、いわゆる新興経済諸国やアフリカ諸国の経済は一気に悪化した。

中国は原油の買い手としても存在感を増していた。

OPEC(石油輸出国機構)によると、14年の中国の原油輸入は、米国に次いで世界第2位であった。14年春にバブル崩壊が始まり、中国経済は失速していった。同じタイミングで、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油価格指数は値を下げ始め、15年9月はバレル単価45・5ドル(約5500円)にまで落ち込んでしまった。

原油価格の下落は、原油輸出への依存が大きいカナダ経済をリセッション(景気後退)に追い込み、先日の総選挙で政権交代が実現してしまった。インドネシアは資源価格低迷を受け、通貨ルピアが下落した。結果、輸入物価が上昇し、市民生活は高インフレの直撃を受け、ジョコ大統領の支持率が急降下している。

中国の資源輸入が急激に縮小し、資源国の政治が揺らいでいる事態であるにも関わらず、成長率は対前年比6・9%。共産党が無から資源を生み出す魔法を使えない限り、現在の中国経済が成長しているなど「嘘」である。

■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない! 中国経済の真実』(ワック)、『超・技術革命で世界最強となる日本』(徳間書店)、『亡国の農協改革』(飛鳥新社)など多数。