習主席「国賓」来日なら“日本の負の遺産” 天皇陛下への侮辱、外交上の致命傷に 喜ぶのは与野党の「親中」勢力ぐらいだ (ケント・ギルバート ニッポンの新常識)

中国の習近平国家主席の「国賓」来日について、政府が年内の実施を見送る方針だと産経新聞が1日報じた。驚くしかない。報道が事実ならば、菅義偉政権の考えは甘すぎる。習氏を「国賓」で招けば、世界に誤ったメッセージを発信してしまうことが分からないのか。
まず、高度3万フィート(約1万メートル)から、「中国の暴走」を俯瞰(ふかん)してもらいたい。
中国は2月1日、海警局に外国船への武器使用を認めた海警法を施行した。沖縄県・尖閣諸島周辺では、同月15~16日にかけて中国海警局の船4隻が領海侵入した。砲のようなものを搭載している海警局船も航行していたことから、いつ漁民に被害が及んでも不思議ではない状況だ。
人権問題をめぐっては、英BBC放送が昨年夏、新疆ウイグル自治区でウイグル人らが目隠しされ、列車に乗せられているような映像を入手・放送した。ドナルド・トランプ前米政権は今年1月、ウイグル人への行為を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定するなど、世界は中国に厳しい目を向けている。香港の人権弾圧や台湾における暴挙も続いている。
新型コロナウイルスをめぐっても、初動対応で情報をひた隠しにし、世界を大混乱へと陥れた罪は重い。
習氏は2015年10月、英国を「国賓」として訪問し、女王陛下主催の晩餐(ばんさん)会にも出席した。中国から英国への投資や貿易が拡大し、当時、英中の親密ぶりが報じられた。英国はその後、対中姿勢を大転換したが、「親中」イメージを払拭するのに苦労した。
日本が、習氏を「国賓」として招けば、天皇陛下がお出迎えされることとなり、国民の幸せと平和を希求されている陛下への侮辱となる。さらに世界の左派メディアが「親中」というイメージを植え付け、自由主義陣営に失望を与えることは目に見えている。
コロナ禍でも、軍事的覇権拡大を進める中国に対し、日米同盟をはじめ、日米とオーストラリア、インドによる枠組み「QUAD=クアッド」などによって自由主義陣営が結束を高めている。ジョー・バイデン米政権に「親中」懸念がぬぐえないなか、世界は「国賓来日=日本は中国にすり寄った」とみるだろう。
習氏としては、香港やウイグルなどでの人権問題が世界的注目を集めるなか、「国賓」来日で批判をかわそうという狙いがありそうだ。民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件後、92年の天皇訪中で国際社会に復帰したことを参考にしているのではないか。一昨年6月、トランプ米大統領が「国賓」来日しており、肩を並べたい野心もあるだろう。
そもそも、習氏の「国賓」来日を喜ぶ日本人がどのくらいいるのだろうか。経済的利害関係者と、与野党の「親中」勢力ぐらいではないか。そんな、一部の人々・勢力のために、外交上の致命傷を負うことはない。負の歴史を残してはならない。
■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。
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