東アジア歴史文化研究会のブログ

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう 

【日本の選択】日本の“虚妄”中国との「政冷経熱」から脱却せよ! 人権問題で妥協しない米のユニクロ輸入禁止、欧州も決然とした姿勢示す

東アジア歴史文化研究会

2021.5.24

欧州連合(EU)が、中国に決然とした姿勢を示した。中国当局によるウイグル族への人権弾圧をめぐる制裁合戦が続くなか、欧州議会は20日、EUと中国が昨年12月に合意した投資協定について、批准手続きを凍結する決議を圧倒的多数で採択したのだ。ジョー・バイデン米政権とともに、「人権問題では譲歩しない」という覚悟を固めたといえる。英国での先進7カ国(G7)首脳会談が来月に迫るなか、今後、アジアの自由主義大国である日本の姿勢が問われる。新進気鋭の政治学者、岩田温氏は、日本の政財官界に残る「政冷経熱」の終焉(しゅうえん)に迫った。


「政冷経熱」との造語がもてはやされた時期があった。日本と中国は政治的には冷めた関係だが、経済的には熱い関係にあるとの意味で用いられてきた。「政治的には問題を抱えた2カ国だが、経済的には極めて友好的な関係を維持したい」という日本人の意識を端的に表した言葉だったといってよい。

だが近年、「政冷経熱」なる言葉の空疎さが明らかになりつつある。

ドナルド・トランプ前米政権の末期、マイク・ポンペオ国務長官(当時)は、習近平国家主席率いる中国における新疆ウイグル自治区の人権状況を「ジェノサイド」と厳しく非難した。「ジェノサイド」とは20世紀に、ポーランド系ユダヤ人の弁護士、ラファエル・レムキンが「占領されたヨーロッパの枢軸国支配」において提唱した概念で、「一民族の抹殺」を意味する非常に強い言葉だ。

バイデン政権の、アントニー・ブリンケン国務長官も、こうした基本的な考え方を継承することを明らかにしていた。人権問題に関して中国に強い姿勢で臨むとの態度の表れだ。

19日、衣料品店「ユニクロ」の男性用シャツが今年1月、米国への輸入を差し止められていたことが明らかになった。米国が制裁対象とする「新疆生産建設兵団」が原料綿の生産に関与した疑いがあったためだ(=ユニクロ側は『差し止め措置は不当』『原材料は中国国外で生産されている』と主張している)。

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4月8日の決算記者会見で、ウイグルの綿花を使用している可能性を尋ねられた際、「政治的な質問にはノーコメント」「人権問題というより政治的問題だ」と返答したことは記憶に新しい。従来の日本政府、企業の「政冷経熱」の基本的な考え方に基づいた言葉だったのだろう。

振り返ってみれば、日本政府は天安門事件(1989年6月)の際に人権問題を軽視する判断を下していた。

昨年末に一般公開された外交文書において、当時の日本政府は天安門事件を「人道的見地から容認できない」としながらも、「中国の国内問題。対中非難にも限界」と指摘し、西側諸国が「制裁措置等を共同して採ることには日本は反対」との方針を明記していた。

沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題があろうとも、深刻な人権弾圧の問題があろうとも、「政治は政治であり、基本的に経済とは関わりのない問題である」との立場を取ってきた。

しかし、今回の米国によるユニクロ製品の輸入禁止措置で、「人権問題では中国と妥協しない」という米国の姿勢が明らかとなった。中国国内の人権問題という政治的問題が、日本企業の経済的問題につながったのだ。EU議会も「対中投資協定の批准凍結」という姿勢を示した。政治と経済とは無関係ではあり得ないことが示されたといっても過言ではない。

あえて言おう。「政冷経熱」は日本国民の願望からなる虚妄に過ぎない。国家が存在する限り、政治と切り離された経済など存在しない。日本国民は目を覚ますべきときだ。


■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。