東アジア歴史文化研究会のブログ

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【マンション業界の秘密】 中国人所有の日本不動産、今後は「買い」から「売り」へ 東京のタワマンも対象に…市場へインパクト与える可能性(榊淳司)

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同じころに出した「2025年東京不動産大暴落」(イースト新書)については、刊行直後に中国の人民日報から取材を受け、インタビュー記事が同系列の環球時報に掲載された。

それより前、もう10年近くになるか。香港にまだ民主派の蘋果日報が存在していた頃に、日本のマンション市場に関する取材を受けて、紙面で大きく取り上げられたこともある。

中国の人々は、日本の不動産に対して並々ならぬ関心がある。実際に日本の物件も彼らによく買われている。都心や湾岸で販売される新築タワマンでは、購入者の一定割合が中華系の人々であることは、今や常識だ。

その中国では、どうやら経済が不況に突入した模様。1980年代に改革開放路線が始まってから、初めての本格的な景気後退である。

資本主義経済では好景気と不景気が循環する仕組みになっている。ところが共産党が独裁している中国では、景気後退が許されない。共産党の指導には絶対に誤りはないという前提に立っているのだ。

今まで何度か景気後退に陥りそうな場面があったが、その度に市場にマネーを注ぎ込んで回避してきた。いわば、バブル崩壊を避けるために、さらにバブルを膨らませてごまかしてきたのだ。

しかし、今回こそ習近平国家主席は腹をくくったかにみえる。多少景気が後退しても、経済の主導権を国家=共産党に戻すというハードランディング容認政策にかじを切ったと思われる。

それに気付いた中国人たちは、自分たちの資産防衛に躍起になり始めた。例えば、消費先行のあの国では珍しく、貯蓄率が急上昇している。さらに、ここ数年、高騰していたロレックスの価値が暴落。人々は資産を現金化して守ろうとしているのだ。

マンション価格の下落も伝えられる。ただ、社会主義の国らしく「15%以上の値引きは不可」といった当局の指導があるそうだ。

そのうち、彼らが日本国内で所有している不動産についても現金化が図られるかもしれない。彼らは日本人よりも見切りが早い。ある時期にまとまって東京のタワマンなどを売り出すようになると、市場にはそれなりのインパクトを与えそうだ。

個人投資家向けのビルや1棟もののマンションも、ここ数年、中国人の購入が目立っていた。それらも、今後は売却の対象になる可能性がある。

この10年で日本の不動産市場での彼らの存在感はかなり高まっていた。「買い」が主体だったが、今後は「売り」が多くなりそうだ。

そうなった時に、日本の不動産市場には「売り」を受容するだけの懐の深さがあるのかが心配だ。それがなければ、「売り」が「売り」を呼ぶ展開にならないともかぎらない。

■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。