【ニッポンの新常識】 岸田政権は中国の「非公式警察署」に断固対処せよ かつて後の韓国大統領が千代田区で拉致「金大中事件」の〝あしき前例〟も(ケント・ギルバート)
スペインのNGO(非政府組織)が9月以降、日本や米国、英国、ドイツなど、30カ国の70カ所に拠点があり、反体制的人物の追跡、強制帰国にも関与していると報告書で明らかにしたという。世界各国は主権侵害の疑いで調査・捜査に着手している。
日本の拠点は、在日中国人の友好・親睦団体の所在地と一致すると報じられた。私は以前、著書『いまそこにある中国の日本侵食』(ワック)で、中国は「文化交流」「友好」などの表向きの看板を立てて、スパイ活動をしている危険性があると警鐘を鳴らした。
私が今回、憤りを感じるのは、中国政府とともに日本政府の対応だ。
岸田文雄政権は当初、拠点の存在を肯定も否定もしなかった。松野博一官房長官は先月14日の定例会見で、「ご指摘の報道は承知しているが、私からお答えすることは差し控える」と述べていた。
林芳正外相が同29日になって、中国側に外交ルートで「懸念」を伝えたことを明らかにした。日本で「非公式警察署」が話題になったのは11月中旬である。世界各国が調査・捜査に着手し、閉鎖命令を出すなか、遅すぎて甘すぎると感じる。
「非公式警察署」が、中国が反体制的人物の把握や、強制帰国に関与しているとすれば、国際的な人権問題だ。毅然(きぜん)と対応しなければ、「日本は主権侵害に鈍い」「人権問題を軽視している」と言われかねない。「孔子学院」をめぐる対応もそうだが、他国のように、NGOの報告書が出た直後から調査・捜査に乗り出すのが筋だろう。
日本では1973年、後の韓国大統領となる金大中氏が、同国の情報機関によって東京都千代田区のホテルから拉致される「金大中事件」という〝あしき前例〟がある。
スパイ行為の嫌疑があっても、日本には「スパイ防止法」がなく、他国の諜報・工作活動を取り締まる法制が追いついていないのだ。「非公式警察署」のような前例が積み重なると、「日本=安全な国ではない」とのレッテルが張られかねない。独立国家として「スパイ防止法」の制定は不可欠だろう。
中国の軍事的覇権拡大を阻止するため、米国と英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドによる機密情報共有枠組み「ファイブ・アイズ」に、日本の参加が検討されたと報じられたことがある。5カ国レベルの機密保護ができればいいが、現状では中国側の監視網に加担しているように見えなくもない。
■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『強い日本が平和をもたらす 日米同盟の真実』(ワニブックス)、『いまそこにある中国の日本侵食』(ワック)、『わが国に迫る地政学的危機 憲法を今すぐ改正せよ』(ビジネス社)など。
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